平成20年3月24日、2008年の公示地価が国土交通省から発表されました。社会的にも個人的にも、今回の発表が盛り上がらないのは、地価が横ばい低迷へと転換していること以上に、ガソリン税のバタバタなどを含めた政治不信、株安など、社会・景気の暗さによるものだと思います。
さて、発表された公示地価の内容は、全国平均(全用途)で前年比プラス1.7%、2年連続の上昇。この他、公示地価の数字だけを見ていれば、地価は上昇ということになるが、実際には?
今回発表された公示地価を含め、公的な地価指標には遅効性という欠点があり、現時点での状況がリアルに反映されるわけではない。公示地価はその年の1月1日現在の地価ということになっているが、その調査データは半年程度前のもの。
不動産市場では、サブプライムローン問題をきっかけに金融の引き締め(資金難)から不動産市場への資金流入のストップ・流出があり、ここを分岐点に市場の流れは変わった。
同問題は昨年の夏ごろのため、今回の公示地価の基になるデータは、同問題が起こった前後のものであり、同問題の影響が反映されていない。このため、今秋の基準地価や来年の公示地価では、地価上昇が止まり転換点を迎えたという数値になるのではないかと思われる。
今回の公示地価について、新聞、ネットなどでは、インパクトのある不動産投資市場・ファンドなど金融に近いところを取り上げていることが多く、一般の住宅市場についての記載は少ない。
住宅地について取り上げられていたものを抜き出してみると、
住宅地については、都心の人気は依然高い。東京駅から二十キロ以遠の郊外との二極化はさらに進む。郊外の分譲物件は九月以降、在庫調整で20−30%の値引きに動くとみている。東京の地価はここ一、二年上がり過ぎた面がある。本来の利用価値に沿った適正な価格へ回帰すると思う。(みずほ証券チーフ不動産アナリスト 石沢卓志氏 東京新聞)
マンション販売では、特に大都市の郊外で、表示価格から大幅に値引きする物件が後を絶たないという。(3月25日付・読売社説)
住宅地、商業地ともに今まで地価の上昇をけん引してきた東京都区部や政令指定都市を中心に、既に地価の頭打ちあるいは一部で下落傾向が生じている。(野村証券・チーフエコノミストの木内登英氏 ロイター)
どの内容を取ってみても、地価は転換点に入り上昇は止まった、郊外を中心に値下がりは始まっているというスタンス。
住宅地の地価低迷は、サブプライムローン問題による金融の引き締め→不動産分譲業者の資金難→土地仕入れの低迷という影響もあると思われるが、それ以上に、地価の上昇に購入資金力がついていけないことが主因だと思われる。
1億を超えるような都心のマンションは購入層が違うので別としても、5,000万円超が都内の新築マンション価格のスタートラインというのは、一般的な世帯の収入などから考えると高い。
郊外の一戸建てにしても、原油高に影響された建築資材の高騰による建築コストの上昇が、住宅価格全体を押し上げ、収入が伸び悩んだ分、地価を押さえ込んだ。
ここ数年、会社は収益を上げたが、個人所得は伸びていない。これから会社の収益は落ちると思われ、所得にも影響が出る。購買力が落ちることに加え、人口減による住宅需要減少、景気悪化などの要因などから、今後の地価が上昇に転じることは、とうぶん考えられない。
これからの住宅購入は、資産価値という観点で考えるのではなく、生活を中心とした利用価値で考えるべきである。資産価値は不動産という物が主役であるが、利用価値は利用する人が主役。このため、家族の状況などにより利用価値は変化するものであり、利用価値の変化による住み替えが実現できるように、生活する人も社会も変わっていかなければならない。
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